買戻特約 | 不動産登記申請メモ 不動産登記申請書式集
買戻特約の登記
買戻特約の登記(分割払い)
支払い済み代金の変更(支払い済み代金増額)
買戻し権の移転
買戻し権の行使による所有権の移転
買戻特約の抹消
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買戻特約(民法579条〜585条)
買戻特約
不動産の売買契約と同時に買戻特約が締結された場合には売主は買主が現実に支払った売買代金と契約費用を返還することにより売買を解除することが出来る。※売買契約と同時にしなければならないので、売買以外で所有権を移転する場合には買戻特約は出来ない。
買戻しの期間は10年を超えることができない。10年を超える期間を定めた場合にはその期間は10年に短縮される。期間を定めなかった場合には5年以内に買戻し権を行使しなければならない。
買戻特約は売買による所有権移転の登記と同時に別個の申請情報をもって登記することが出来る。売買による所有権移転の登記と同時に登記された買戻特約は第三者に対抗することが出来る。同時に登記されなかった買戻特約は第三者に対抗出来ない(第三者に対抗できないだけで、当事者間では有効)。
買戻し権の移転登記も可能。買戻権の移転は買戻特約を主登記とした付記登記(買戻特約も所有権移転の付記登記なので、付記登記の付記登記になる)で実行される。
買戻特約の登記の際には登記識別情報や印鑑証明情報は添付が要求されないが、所有権の買戻し権の移転の登記の際には登記識別情報も印鑑証明情報も添付しなければならない。
買戻特約の絶対的登記事項
絶対的登記事項…申請情報の内容として必ず記載しなければならない事項
・売買代金
・契約費用
買戻特約の任意的登記事項
任意的登記事項…当事者間に定めがある場合に提供すればよい。
・買戻しの期間
売買代金
条文中の買主が支払った代金とは、現実に買主が支払った代金を指し売買代金の他に利息などを付して額を申請情報に提供することは出来ない(買戻し権者の保護のため)
契約の費用
契約費用は絶対的登記事項なので契約費用がかからなかった場合でも「なし」として申請情報に提供する。
買戻特約の変更や更正の制限
・売買代金や契約費用を増額する変更登記は申請できないが更正なら可能(更正の場合には増額ではなく、そもそもの登記の誤りを是正するに過ぎないから)。
・売買代金や契約費用の減額は変更・更正ともに可能
・買戻し期間を伸長する変更も申請できない。更正は可能(更正の場合には伸長ではなく、そもそもの登記の誤りを是正するに過ぎないから)。
買戻特約の抹消(当事者による抹消)
買戻し権が消滅した場合(買戻し期間の満了・買戻特約の解除・買戻特約の取消など)は、買戻特約の登記の抹消を申請する必要がある。この申請は原則通り共同申請となり、買戻し期間の満了が登記記録から明らかであったとしても登記権利者からの単独申請による抹消はできない。
買戻特約の抹消(登記官の職権による抹消)
買戻し権の行使による所有権移転の登記がされた場合は登記官が職権で買戻特約の抹消をする。買戻し権の行使により買戻し権が消滅したことは登記記録により登記官にも明らかだから。
買戻特約の付記登記がされている所有権移転の抹消
買戻特約が付記登記されている所有権移転の登記を抹消する場合には、所有権移転登記の抹消に先立ちまたは同時に買戻特約の登記を抹消しなければならない。
関連条文
(買戻しの特約)
第五百七十九条 不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻しの特約により、買主が支払った代金及び契約の費用を返還して、売買の解除をすることができる。この場合において、当事者が別段の意思を表示しなかったときは、不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなす。
(買戻しの期間)
第五百八十条 買戻しの期間は、十年を超えることができない。特約でこれより長い期間を定めたときは、その期間は、十年とする。
2 買戻しについて期間を定めたときは、その後にこれを伸長することができない。
3 買戻しについて期間を定めなかったときは、五年以内に買戻しをしなければならない。
(買戻しの特約の対抗力)
第五百八十一条 売買契約と同時に買戻しの特約を登記したときは、買戻しは、第三者に対しても、その効力を生ずる。
2 登記をした賃借人の権利は、その残存期間中一年を超えない期間に限り、売主に対抗することができる。ただし、売主を害する目的で賃貸借をしたときは、この限りでない。
(買戻権の代位行使)
第五百八十二条 売主の債権者が第四百二十三条の規定により売主に代わって買戻しをしようとするときは、買主は、裁判所において選任した鑑定人の評価に従い、不動産の現在の価額から売主が返還すべき金額を控除した残額に達するまで売主の債務を弁済し、なお残余があるときはこれを売主に返還して、買戻権を消滅させることができる。
(買戻しの実行)
第五百八十三条 売主は、第五百八十条に規定する期間内に代金及び契約の費用を提供しなければ、買戻しをすることができない。
2 買主又は転得者が不動産について費用を支出したときは、売主は、第百九十六条の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、有益費については、裁判所は、売主の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。
(共有持分の買戻特約付売買)
第五百八十四条 不動産の共有者の一人が買戻しの特約を付してその持分を売却した後に、その不動産の分割又は競売があったときは、売主は、買主が受け、若しくは受けるべき部分又は代金について、買戻しをすることができる。ただし、売主に通知をしないでした分割及び競売は、売主に対抗することができない。
第五百八十五条 前条の場合において、買主が不動産の競売における買受人となったときは、売主は、競売の代金及び第五百八十三条に規定する費用を支払って買戻しをすることができる。この場合において、売主は、その不動産の全部の所有権を取得する。
2 他の共有者が分割を請求したことにより買主が競売における買受人となったときは、売主は、その持分のみについて買戻しをすることはできない。