区分地上権の設定 | 不動産登記申請メモ 不動産登記申請書式集
事例
A所有の土地につき、高架鉄道施設保持のためBが区分地上権の設定をした場合の申請。この土地には地上権者の甲、甲の地上権を目的とした抵当権の抵当権者乙がいるとする。なお、区分地上権の範囲は東京湾平均海面の上150メートルから平均海面の上40メートルの間とし、地代として年に金100万円を毎年末日に支払う事とした。特約として土地所有者は高架鉄道運行の障害となる工作物を設置しないとした。
申請情報
登記の目的 |
地上権設定 |
原因日付 |
年月日 設定 |
目的 |
高架鉄道施設の保持 |
範囲 |
東京湾平均海面の上150メートルから平均海面の上100メートルの間 |
地代 |
年金100万円 |
支払期 |
毎年末日 |
特約 |
土地所有者は高架鉄道の運行の障害となる工作物を設置しない |
登記権利者 |
住所 B |
登記義務者 |
住所 A |
添付情報 |
・登記識別情報(Aのもの) |
課税価格 |
金1,000万円 |
登録免許税 |
金10万円 |
スポンサーリンク
備考
登記の目的
【地上権設定】
※区分地上権の設定であっても登記の目的は地上権の設定。
原因日付
【年月日設定】
※区分地上権を設定しようとしている土地に第三者の利用権等が登記されている場合には、その第三者の承諾がなければ区分地上権は成立しない(効力要件 民法269の2のU)ので、区分地上権設定契約と利用権者等の承諾のいづれか遅いほうが原因日付となる。
目的
【高架鉄道施設の保持】
※区分地上権設定の絶対的登記事項。区分地上権設定の目的を提供する
範囲
【東京湾平均海面の上150メートルから平均海面の上100メートルの間】
※区分地上権設定の絶対的登記事項。区分地上権の目的の範囲を提供する
地代
【年金100万円】
※区分地上権設定の任意的登記事項。地代の定めがある場合には地代の定めを提供する
支払期
【毎年末日】
※区分地上権設定の任意的登記事項。地代の定めがある場合にはその支払い時期を提供する
登記権利者
【住所 B】
区分地上権者となる者を記入する
登記義務者
【住所 A】
区分地上権設定者(土地の所有者)を記入する
添付情報
・登記識別情報
・登記原因証明情報
・印鑑証明
・代理権限証明情報
・利用者等の承諾書
※利用者等の承諾がなければ区分地上権は設定できないので利用者等の承諾書を提供する。
課税価格
・地上権設定の課税価格は不動産の価格であり、このサイトでは特別に記述がない場合は1,000万円とする
登録免許税
・課税価格の1000分の10
スポンサーリンク
地上権(民法265条〜269条の2)
・工作物や竹木を所有するために他人の土地を使用する権利。地上も地下も利用することが出来るが,地下または空間の一定の上下の範囲を定めてその範囲のみを目的として地上権を設定することも可能(民法269条の2区分地上権)。
工作物⇒建物や道路、スキー場等
竹木⇒竹や松,などの植林の目的となる植物。
・共有持分の全部又は一部を目的とする地上権設定契約は無効。
・地上権は一つの土地に一つしか設定できない(区分地上権は除く)。
・一筆の土地の一部を目的として地上権を設定することは可能だが、不動産登記手続法上では不可。登記をしたいなら地上権が設定されている部分と設定されていない部分を分筆し、分筆後に地上権が設定されている土地全体を目的として登記する必要がある。※地上権を登記するメリットとしては、第三者への対抗力の取得。
・区分地上権は第三者がその土地の使用収益をする権利を有している場合でも、その使用収益を有する全ての者の承諾があれば設定できる(民法269条の2 2項)
※区分地上権を設定したい土地の地上権者や賃借権者、地上権を目的とした抵当権者等の全ての者の承諾。
※区分地上権の設定契約の日と全ての第三者の承諾を得られた日が異なる場合は、いずれか遅いほうが原因日付となる(全ての者の承諾が効力要件なので承諾を得ないと成立しないから)。
地上権設定登記の申請人
・登記権利者と登記義務者による共同申請
※法定地上権(民法388条)の設定の場合でも登記権利者と登記義務者による共同申請
地上権設定の登記事項
絶対的登記事項(不動産登記法78条1)
・登記の目的
・登記原因及びその日付
・登記権利者(抵当権者)の氏名または名称及び住所
・債権額(一定の金額を目的としない債権については、その価額)
・債務者の氏名又は名称及び住所
・地上権設定の目的
地上権の任意的登記事項(不動産登記法78条2)
・地代またはその支払い時期の定め。
・存続期間または借地借家法22条前段(定期借地権)または23条1項(30年以上50年未満の事業用定期借地権)の定めがあるときはその定め。
・地上権設定の目的が借地借家法23条1項(30年以上50年未満の事業用定期借地権)または23条2項(10年以上30年未満の事業用定期借地権)に規定する建物の所有であるときはその旨。
・民法269条の2第1項前段(区分地上権)に規定する地上権の設定の場合は、その目的である地下または空間の上下の範囲及び後段の定め(設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる)があるときはその定め。
関連条文
第四章 地上権
(地上権の内容)
第二百六十五条 地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
(地代)
第二百六十六条 第二百七十四条から第二百七十六条までの規定は、地上権者が土地の所有者に定期の地代を支払わなければならない場合について準用する。
2 地代については、前項に規定するもののほか、その性質に反しない限り、賃貸借に関する規定を準用する。
(相隣関係の規定の準用)
第二百六十七条 前章第一節第二款(相隣関係)の規定は、地上権者間又は地上権者と土地の所有者との間について準用する。ただし、第二百二十九条の規定は、境界線上の工作物が地上権の設定後に設けられた場合に限り、地上権者について準用する。
(地上権の存続期間)
第二百六十八条 設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において、別段の慣習がないときは、地上権者は、いつでもその権利を放棄することができる。ただし、地代を支払うべきときは、一年前に予告をし、又は期限の到来していない一年分の地代を支払わなければならない。
2 地上権者が前項の規定によりその権利を放棄しないときは、裁判所は、当事者の請求により、二十年以上五十年以下の範囲内において、工作物又は竹木の種類及び状況その他地上権の設定当時の事情を考慮して、その存続期間を定める。
(工作物等の収去等)
第二百六十九条 地上権者は、その権利が消滅した時に、土地を原状に復してその工作物及び竹木を収去することができる。ただし、土地の所有者が時価相当額を提供してこれを買い取る旨を通知したときは、地上権者は、正当な理由がなければ、これを拒むことができない。
2 前項の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
(地下又は空間を目的とする地上権)
第二百六十九条の二 地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる。
2 前項の地上権は、第三者がその土地の使用又は収益をする権利を有する場合においても、その権利又はこれを目的とする権利を有するすべての者の承諾があるときは、設定することができる。この場合において、土地の使用又は収益をする権利を有する者は、その地上権の行使を妨げることができない。
関連ページ
- 地上権の設定
- 不動産登記の申請書式をまとめるサイトです。
- 地上権の移転(売買等による特定承継)
- 不動産登記の申請書式をまとめるサイトです。
- 地上権移転(相続などによる一般承継)
- 不動産登記の申請書式をまとめるサイトです。
- 地上権変更
- 不動産登記の申請書式をまとめるサイトです。