所有権の更正 | 不動産登記申請メモ 不動産登記申請書式集
敷地権付区分建物の所有権保存登記の更正(単有を共有へ)
相続を登記原因としてされた所有権移転登記の更正(単有を共有へ)
相続以外を登記原因としてされた所有権移転登記の更正(単有を共有へ)
相続を登記原因としてされた所有権移転登記の更正(共有を単有へ)
相続以外を登記原因としてされた所有権移転登記の更正(共有を単有へ)
共有名義不動産の共有者の追加の更正
共有持分の更正
所有権一部移転の登記を所有権移転に更正する登記
所有権移転の登記を所有権一部移転へ更正する登記
登記原因の更正
胎児が死体で生まれた場合の登記
相続放棄取消による所有権更正
巻き戻し更正
所有権更正【仮処分による一部失効】
変更・抹消・更正の判断
所有権の登記が原始的に一部不一致で是正の前後に同一性がある→更正
所有権の登記が原始的に全部不一致→抹消or真正な登記名義の回復による
所有権の登記が後発的に不一致→変更
所有権更正登記
所有権更正登記の利害関係人の承諾
権利の更正登記は不動産登記法66条により、利害関係人の承諾があれば付記登記、なければ主登記で実行されるが、所有権の更正登記は実質的に所有権一部抹消であり不動産登記法68条の登記の抹消における利害関係人の承諾と同じ意味あいがある。そのため所有権更正登記では利害関係がいる場合には、その者の承諾がなければ申請できない。
(権利の変更の登記又は更正の登記)
第六十六条 権利の変更の登記又は更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者(権利の変更の登記又は更正の登記につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)の承諾がある場合及び当該第三者がない場合に限り、付記登記によってすることができる。
(登記の抹消)
第六十八条 権利に関する登記の抹消は、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の抹消につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。
目的
【〇番所有権更正】の要領で順位番号により何番で登記されている所有権の変更なのかを特定する。これは変更・更正・抹消の全てで同じ要領。
原因日付
【錯誤】⇒日付不要
【遺漏】⇒日付不要
【相続放棄取消】⇒日付は相続放棄取消申述受理の日
申請人
権利が増えるor発生する者が権利者となり、権利が減るor消滅する者が義務者となる
特定承継(売買等)による所有権移転登記の更正の場合は前所有権登記名義人も登記義務者になるが、持ち分のみの更正の場合には前所有者は登記義務者にならない。所有権保存登記の更正の場合には保存登記の前の登記名義人は存在しないので前所有者の登記義務の問題にはならない。
更正後の事項
更正後に登記されるべき内容を記載する。
更正により登記名義人の持ち分に変動がある場合は各々の持分を明記する。これに対して共有者の持分のみの更正の場合は持分に変化がない者の記載は必要ない。
※2分の1A、2分の1Bの共有地を4分の2A、4分の1B、4分の1Cへと更正する場合、Aの持分は変化してないが共有者がAB→ABCへと変化しているので各々の持分を記載しなければならない。これに対してA6分の3、B6分の2、C6分の1の登記をA6分の3、B6分の1、C6分の2へと更正する場合は登記名義人には変動はなく持分のみの更正でA持分は変動しないのでBとCの更正後の持分を記載する。
第三者承諾証明
登記上の利害関係人(抵当権者や地上権者など)が存在する場合、にはその登記を受けている第三者の承諾を証する情報が必要になる。
原因または日付の更正の場合には登記上の利害関係人は存在しないので承諾書の添付は問題にならない。
登録免許税
所有権の更正登記は不動産1個につき1000円
所有権更正登記のポイント
意義と要件
所有権の更正は原始的に既存の登記の一部が実体と不一致であり、更正の前後に同一性がある場合にできる。
原始的に一部不一致
例
・更正は、更正の前後に一人でも同じ人物がいれば可A→ABCDEへの更正も可能
A→AB→Bの更正は不可。更正の最初と最後で同一人物がいないため。
・A名義で登記がされている土地(実際にAの単独所有)をA→ABに更正は出来ない。
※A名義の登記は実体と合致していて原始的に一部不一致ではないから。
後発的な一部不一致
後発的な一部不一致の場合は変更登記により間違いを正すことになる。
原始的に全部不一致
原始的に全部不一致の場合にはその登記は完全に無効なものなので抹消登記をして正しい登記を申請しなおすか、真正な登記名義回復を原因として所有権の移転登記で間違いを正すかになる。
例
A→Bへの更正登記は出来ない。この場合はA名義の登記を抹消し、B名義の登記を申請しなおすか
A→Bでの移転登記(原因は真正な登記名義の回復)をするかによる。
利害関係人の承諾
所有権更正登記はかならず付記登記で実行される。そのため登記上の利害関係人の承諾が得られない更正登記は受理されない。承諾がない場合は主登記で実行されるわけではなく申請が出来ない点に注意。
単有名義を共有名義にするケースでの利害関係人
更正しようとしている登記より後順位で登記されている抵当権者や用益権者が利害関係人にあたる。単有名義から共有名義への更正により抵当権は縮減し、用益権は消滅してしまうから。
更正しようとしている登記より先順位で登記されている抵当権者や用益権者は利害関係人にはあたらない。更正されても先順位の者が優先されるから。
共有名義を単有名義へと更正するケースでの利害関係人
更正しようとしている登記より後順位で登記された所有権全体を目的とした抵当権者と更正により共有者でなくなる者の持分に設定された抵当権者が利害関係人にあたる。それぞれ抵当権の縮減や消滅というデメリットを受けてしまうから。
用益権の登記名義人と更正により単独所有者になる者の持分上に設定された抵当権者は利害関係人にはあたらない。用益権は土地全体を使用収益する権利なので設定当初から土地全体を使用収益させることを承諾しているため、共有が単有になったからといって用益権は消滅しないから。単有が共有になる場合の扱いと異なる点に注意
共有持分のみの更正
持分が減少する者の抵当権者は利害関係人にあたる。
用益権者は利害関係人にあたらない。共有者の持分に変動があっても用益権は消滅しないので。
登記名義人に変動があった場合は用益権が消滅してしまう事との違いに注意。