共有持分の更正 | 不動産登記申請メモ 不動産登記申請書式集
事例
A・B・Cの共有地(各持分はA8分の4、B8分の3、C8分の1)で登記された所有権の持分をA8分の4、B8分の1、C8分の3へと更正する場合の申請。
当該土地についてはAが甲のために抵当権を、Bが乙のために抵当権を、Cが丙のために抵当権を、ABCが丁のために抵当権を、ABCが戊のために地上権を設定し登記されているものとする。
申請情報
目的 |
◯番所有権更正 |
---|---|
原因日付 |
錯誤 |
更正後の事項 |
住所 B持分8分の1 |
登記権利者 |
住所 C |
登記義務者 |
住所 B |
添付書類 |
・登記原因証明情報 |
登録免許税 |
金1,000円 |
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備考
目的
【〇番所有権更正】の要領で順位番号により何番で登記されている所有権の変更なのかを特定する。
これは変更・更正・抹消の全てで同じ要領。
原因日付
【錯誤】⇒日付不要
【遺漏】⇒日付不要
【相続放棄取消】⇒日付は相続放棄取消申述受理の日
申請人
権利が増えるor発生する者が登記権利者となり、権利が減るor消滅する者が登記義務者となる
特定承継(売買等)による所有権移転登記の更正の場合は前所有権登記名義人も登記義務者になるが
持ち分のみの更正の場合には前所有者は登記義務者にならない。
所有権保存登記の更正の場合には保存登記の前の登記名義人は存在しないので前所有者の登記義務の問題にはならない。
登記権利者
持分が増加するCが登記権利者となる
登記義務者
持分が減少するBが登記義務者となる
更正後の事項
更正後に登記されるべき内容を記載する。
更正により登記名義人の持ち分に変動がある場合は各々の持分を明記する。これに対して共有者の持分のみの更正の場合は持分に変化がない者の記載は必要ない。
※2分の1A、2分の1Bの共有地を4分の2A、4分の1B、4分の1Cへと更正する場合、
Aの持分は変化してないが共有者がAB→ABCへと変化しているので各々の持分を記載しなければならない。
これに対してA6分の3、B6分の2、C6分の1の登記をA6分の3、B6分の1、C6分の2へと更正する場合は
登記名義人には変動はなく持分のみの更正でA持分は変動しないのでBとCの更正後の持分を記載する。
第三者承諾証明
登記上の利害関係人(抵当権者や地上権者など)が存在する場合、にはその登記を受けている第三者の承諾を証する情報が必要になる。
原因または日付の更正の場合には登記上の利害関係人は存在しないので承諾書の添付は問題にならない。
利害関係人
※今回の事例では全員で1つの土地を共有している事実はかわらないので土地全体に設定された権利の権利者は利害関係人にはあたらない
甲=Aの抵当権者
Aの持分に変化はないので利害関係人にはあたらず承諾不要
乙=Bの抵当権者
Bの持分が減少するので利害関係人にあたり承諾が必要
丙=Cの抵当権者
Cの持分が増加するので利害関係人にあたらず承諾不要
丁=ABCの抵当権者
ABCが共有者であることに変わりはないので利害関係人にはあたらず承諾不要
戊=ABCの地上権者
ABCが共有者であることに変わりはないので利害関係人にはあたらず承諾不要。
※このケースと異なり登記名義人に変化があった場合は地上権は消滅してしまうので承諾が必要になる。例 ABCの共有している土地にABCが第三者に地上権を設定した後、ABC共有からABD共有に更正した場合は地上権は存続できず消滅してしまうことになるので地上権者の承諾が必要。
代理権限証明
持分に変化のないAは申請人ではないのでAからの委任状は不要
登録免許税
所有権の更正登記は不動産1個につき1000円
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所有権更正登記
所有権更正登記の利害関係人の承諾
権利の更正登記は不動産登記法66条により、利害関係人の承諾があれば付記登記、なければ主登記で実行されるが、所有権の更正登記が実質的に所有権一部抹消にあたる場合には不動産登記法68条の登記の抹消における利害関係人の承諾と同じ意味あいがあるため所有権の一部抹消の性質がある所有権更正登記では利害関係がいる場合には、その者の承諾がなければ申請できない。
(権利の変更の登記又は更正の登記)
第六十六条 権利の変更の登記又は更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者(権利の変更の登記又は更正の登記につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)の承諾がある場合及び当該第三者がない場合に限り、付記登記によってすることができる。
(登記の抹消)
第六十八条 権利に関する登記の抹消は、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の抹消につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。
原因または日付の更正の場合には登記上の利害関係人は存在しないので承諾書の添付は問題にならない。
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