所有権一部移転の登記を所有権移転に更正する登記 | 不動産登記申請メモ 不動産登記申請書式集

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所有権一部移転の登記を所有権移転に更正する登記 | 不動産登記申請メモ 不動産登記申請書式集

事例

土地についてされたAからBへの所有権一部移転の登記をA→Bへの所有権移転の登記に更正する場合。
土地にはAが甲のために抵当権を、Bが乙のために抵当権を、ABが丙のために抵当権を、ABが丁のために地上権を設定し登記している。

 

申請情報

目的

◯番所有権更正

原因日付

錯誤
更正後の事項

目的 所有権移転
所有者 住所 B

登記権利者

住所 B

登記義務者

住所 A

添付書類

・登記原因証明情報
・登記識別情報(Aのもの)
・印鑑証明(Aのもの)
・登記上の利害関係人の承諾を証する情報(甲・丙のもの)
・代理権限証明(AとBからの委任状)

課税価格

金500万円

登録免許税

金10万円

 

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備考

目的

【〇番所有権更正】の要領で順位番号により何番で登記されている所有権の変更なのかを特定する。
これは変更・更正・抹消の全てで同じ要領。

 

原因日付

【錯誤】⇒日付不要
【遺漏】⇒日付不要
【相続放棄取消】⇒日付は相続放棄取消申述受理の日

 

申請人

権利が増えるor発生する者が登記権利者となり、権利が減るor消滅する者が登記義務者となる
特定承継(売買等)による所有権移転登記の更正の場合は前所有権登記名義人も登記義務者になるが
持ち分のみの更正の場合には前所有者は登記義務者にならない。
所有権保存登記の更正の場合には保存登記の前の登記名義人は存在しないので前所有者の登記義務の問題にはならない。

 

更正後の事項

今回の事例では「目的 所有権一部移転」を 「目的 所有権移転」に、「所有者 AB」を「所有者 B」に更正するので更正後に登記すべき内容を記入する。

 

更正により登記名義人の持ち分に変動がある場合は各々の持分を明記する。これに対して共有者の持分のみの更正の場合は持分に変化がない者の記載は必要ない。
※2分の1A、2分の1Bの共有地を4分の2A、4分の1B、4分の1Cへと更正する場合、
Aの持分は変化してないが共有者がAB→ABCへと変化しているので各々の持分を記載しなければならない。
これに対してA6分の3、B6分の2、C6分の1の登記をA6分の3、B6分の1、C6分の2へと更正する場合は
登記名義人には変動はなく持分のみの更正でA持分は変動しないのでBとCの更正後の持分を記載する。

 

利害関係人

甲=Aの抵当権者
乙=Bの抵当権者
丙=ABの抵当権者
丁=ABの地上権者

 

甲=Aは所有者でなくなるため抵当権が消滅してしまうので利害関係人にあたる

 

乙=Bは単独所有になるのでDの抵当権には影響がないので利害関係人にあたらない

 

丙=Aが所有者でなくなることでA持分の消滅によりBの元持分のみの抵当権に縮減されてしまうので利害関係人にあたる。Bが単独所有になったからといって抵当権は維持されるわけではないことに注意。丙の抵当権は更正前にされたB持分のみの抵当権だけが存続し、B単独所有になっても土地全体への抵当権を持てるわけではなく、Aが設定していたA持分への抵当権は消滅する

 

丁=用益権は存続するので利害関係人にあたらない。AB共有時に設定された地上権はB単独になっても消滅しない。

 

第三者承諾証明

登記上の利害関係人(抵当権者や地上権者など)が存在する場合、にはその登記を受けている第三者の承諾を証する情報が必要になる。
原因または日付の更正の場合には登記上の利害関係人は存在しないので承諾書の添付は問題にならない。

 

課税価格

一部移転の登記を所有権移転に更正することにより増加する価格が課税価格となる
甲→Aへの移転登記を、甲→ABへの移転登記に更正する場合には課税価格は1,000円でよい。甲→Aへの移転登記をした時点で土地全体の登録免許税は納められているから。今回のケースではAからBへの一部移転をAからBへの移転に更正するケースなので一部移転登記をした時点では一部移転した価格分の登録免許税しか納められていないので増加する価格分が登録免許税となる

 

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所有権更正登記

所有権更正登記の利害関係人の承諾

権利の更正登記は不動産登記法66条により、利害関係人の承諾があれば付記登記、なければ主登記で実行されるが、所有権の更正登記が実質的に所有権一部抹消にあたる場合には不動産登記法68条の登記の抹消における利害関係人の承諾と同じ意味あいがあるため所有権の一部抹消の性質がある所有権更正登記では利害関係がいる場合には、その者の承諾がなければ申請できない

(権利の変更の登記又は更正の登記)
第六十六条 権利の変更の登記又は更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者(権利の変更の登記又は更正の登記につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)の承諾がある場合及び当該第三者がない場合に限り、付記登記によってすることができる。
(登記の抹消)
第六十八条 権利に関する登記の抹消は、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の抹消につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。

原因または日付の更正の場合には登記上の利害関係人は存在しないので承諾書の添付は問題にならない。
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