相続放棄取消による所有権更正 | 不動産登記申請メモ 不動産登記申請書式集
事例
被相続人甲、相続人がAとBであり、Aが相続放棄をし、B単独名義での相続登記をした後にAの相続放棄が取り消された場合の申請。
申請情報
目的 |
〇番所有権更正 |
---|---|
原因日付 |
年月日 相続放棄取消 |
更正後の事項 |
共有者 住所 持ち分2分の1A |
登記権利者 |
住所 A |
登記義務者 | 住所 B |
添付書類 |
・登記原因証明情報 |
登録免許税 |
金1,000円 |
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備考
相続放棄の取消
相続の放棄は原則的には取消できないが、例外的に取消が許されるケースがある。
・未成年者が法定代理人の同意なく放棄をした場合(民法5条)
(未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
・成年被後見人が単独で放棄をした場合(民法9条)
(成年被後見人の法律行為)
第九条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
・被保佐人が保佐人の同意を得ずに放棄をした場合(民法13条)
(保佐人の同意を要する行為等)
第十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
・後見監督人がいるにも関わらず後見人または被後見人が後見監督人の同意を得ずに放棄をした場合(民法864条・民法865条)
(後見監督人の同意を要する行為)
第八百六十四条 後見人が、被後見人に代わって営業若しくは第十三条第一項各号に掲げる行為をし、又は未成年被後見人がこれをすることに同意するには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。ただし、同項第一号に掲げる元本の領収については、この限りでない。
第八百六十五条 後見人が、前条の規定に違反してし又は同意を与えた行為は、被後見人又は後見人が取り消すことができる。この場合においては、第二十条の規定を準用する。
目的
【〇番所有権更正】の要領で順位番号により何番で登記されている所有権の変更なのかを特定する。
これは変更・更正・抹消の全てで同じ要領。
原因日付
【錯誤】⇒日付不要
【遺漏】⇒日付不要
【相続放棄取消】⇒日付は相続放棄取消申述受理の日
申請人
権利が増えるor発生する者が登記権利者となり、権利が減るor消滅する者が登記義務者となる
特定承継(売買等)による所有権移転登記の更正の場合は前所有権登記名義人も登記義務者になるが
持ち分のみの更正の場合には前所有者は登記義務者にならない。
所有権保存登記の更正の場合には保存登記の前の登記名義人は存在しないので前所有者の登記義務の問題にはならない。
更正後の事項
更正後に登記されるべき内容を記載する。
更正により登記名義人の持ち分に変動がある場合は各々の持分を明記する。これに対して共有者の持分のみの更正の場合は持分に変化がない者の記載は必要ない。
※2分の1A、2分の1Bの共有地を4分の2A、4分の1B、4分の1Cへと更正する場合、
Aの持分は変化してないが共有者がAB→ABCへと変化しているので各々の持分を記載しなければならない。
これに対してA6分の3、B6分の2、C6分の1の登記をA6分の3、B6分の1、C6分の2へと更正する場合は
登記名義人には変動はなく持分のみの更正でA持分は変動しないのでBとCの更正後の持分を記載する。
第三者承諾証明
登記上の利害関係人(抵当権者や地上権者など)が存在する場合、にはその登記を受けている第三者の承諾を証する情報が必要になる。
原因または日付の更正の場合には登記上の利害関係人は存在しないので承諾書の添付は問題にならない。
登録免許税
所有権の更正登記は不動産1個につき1000円
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所有権更正登記
所有権更正登記の利害関係人の承諾
権利の更正登記は不動産登記法66条により、利害関係人の承諾があれば付記登記、なければ主登記で実行されるが、所有権の更正登記が実質的に所有権一部抹消にあたる場合には不動産登記法68条の登記の抹消における利害関係人の承諾と同じ意味あいがあるため所有権の一部抹消の性質がある所有権更正登記では利害関係がいる場合には、その者の承諾がなければ申請できない。
(権利の変更の登記又は更正の登記)
第六十六条 権利の変更の登記又は更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者(権利の変更の登記又は更正の登記につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)の承諾がある場合及び当該第三者がない場合に限り、付記登記によってすることができる。
(登記の抹消)
第六十八条 権利に関する登記の抹消は、登記上の利害関係を有する第三者(当該登記の抹消につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。
原因または日付の更正の場合には登記上の利害関係人は存在しないので承諾書の添付は問題にならない。
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