根抵当権の元本確定【債務者の合併による元本確定請求】 | 不動産登記申請メモ 不動産登記申請書式集
事例
根抵当権者A株式会社(代表取締役a)、債務者C株式会社(代表取締役c)として登記されている根抵当権の債務者であるC株式会社を消滅会社、D株式会社(代表取締役d)を存続会社とする吸収合併が成立しその旨の登記もされた後に根抵当権設定者であるBが元本確定請求をした場合の申請。
申請情報
登記の目的 |
◯番根抵当権元本確定 |
原因日付 |
年月日 確定 |
登記権利者 | 住所 B |
登記義務者 |
住所 株式会社A |
添付情報 |
・登記原因証明情報 |
登録免許税 |
金1000円 |
備考
登記の目的
【◯番根抵当権元本確定】
※◯番根抵当権〜のように順位番号で特定する。
原因日付
【年月日 確定】
※債務者の合併による根抵当権設定者からの元本確定請求は合併の効力発生日が元本確定の日。
登記権利者
【住所 B】
※元本確定の登記権利者は根抵当権設定者。
登記義務者
【住所 株式会社A
(会社法人等番号○○○○-○○-○○○○○○)
代表取締役 a】
※元本確定の登記義務者は根抵当権者。
添付情報
・登記原因証明情報
・登記識別情報(株式会社Aのもの)
・代理権限証明情報(株式会社Aの代表取締役a及びBからの委任状)
登録免許税
【金1000円】
※不動産1個につき1000円の定額課税。
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根抵当権の元本確定事由
根抵当権が設定された後に一定の事由が生じると根抵当権によって担保される債権が確定する。
条文 | 詳細 | 備考 | 元本確定の時期 |
民法398条6 | 元本確定期日を定めている場合には期日の到来 | 確定期日は確定期日を定めた日から5年以内でなければならない。 | 確定期日 |
民法398条8-4 | 根抵当権者又は債務者の相続開始後6ヶ月以内に指定根抵当権の合意又は指定債務者の同意をしない時 | 相続開始の時 | |
民法398条9-4 | 根抵当権者又は債務者に合併があった場合に、根抵当権設定者が確定請求をした時 | 根抵当権設定者が合併の事実を知った日から2週間以内。民法398条9-5 | 合併の時 |
民法398条9-4 |
根抵当権又は債務者を分割会社とする会社分割があった場合に、根抵当権設定者が確定請求をした時 | 分割の時 | |
民法398条17 | 共同根抵当権の1個の不動産についてのみ元本確定事由が生じた場合 | 他の不動産について確定事由が生じていなくても元本が確定する | |
民法398条19 | 根抵当権設定のときから3年を経過した後に、根抵当権設定者が確定請求をした時 | ※債務者からの請求ではなく根抵当権設定者からの請求※元本確定期日が定められている場合には認められない | 請求から2週間を経過した時 |
民法398条19-1 | 根抵当権者が確定請求をした時 | ※債務者からの請求ではなく根抵当権設定者からの請求※元本確定期日が定められている場合には認められない | 請求の時 |
民法398条20-1 | 根抵当権者自身が抵当不動産について競売もしくは担保不動産収益執行又は物上代位のための差し押さえの申立をした時 | 確定後に申立を取り下げても元本確定の効果は失われない | 申立をした時※競売手続き開始決定の時ではない |
民法398条20-1-1 | 根抵当権者自身が抵当不動産に対して滞納処分による差し押さえをした時 | 差し押さえがされた時 | |
民法398条20-1-3 |
第三者の申立により、抵当不動産の競売手続きの開始又は滞納処分による差し押さえがあった時 | 2週間経過後に競売手続きの開始や差押の効力が消滅した場合には元本は確定しなかったものとみなされる | 根抵当権が当該事実を知ったときから2週間を経過した時 |
民法398条20-1-4 | 債務者又は根抵当権が破産手続開始の決定を受けた時 | 破産手続き開始の決定の効力が消滅した時は元本は確定しなかったものとみなされる | 破産手続開始の決定がされた時 |
根抵当権者の元本確定登記の単独申請
@根抵当権者からの元本確定請求(民法398条19-2)
A第三者の申立により抵当不動産の競売手続きが開始し、根抵当権者がこれを知った日から2週間経過したとき(民法398条20-1-3)
B債務者または根抵当権設定者が破産手続開始の決定がされたとき(民法398条20-1-4)
上記@〜Bの場合、根抵当権者は単独で根抵当権の元本確定登記の申請ができる(不動産登記法93条)が、A及びBの場合には破産手続開始の決定や競売開始の効力の消滅があった場合には元本が確定しなかったものとみなされてしまうため、元本確定登記のみの申請は出来ない。
A及びBの場合には元本確定登記の申請と同時に当該根抵当権またはこれを目的とする権利の取得の登記を申請する。
そうすることで民法398条20-2但書により根抵当権の元本確定の効果を維持できる。
不動産登記法
(根抵当権の元本の確定の登記)
第九十三条 民法第三百九十八条の十九第二項又は第三百九十八条の二十第一項第三号若しくは第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合の登記は、第六十条の規定にかかわらず、当該根抵当権の登記名義人が単独で申請することができる。ただし、同項第三号又は第四号の規定により根抵当権の担保すべき元本が確定した場合における申請は、当該根抵当権又はこれを目的とする権利の取得の登記の申請と併せてしなければならない。
民法
(根抵当権の元本の確定請求)
第三百九十八条の十九
2 根抵当権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時に確定する。
(根抵当権の元本の確定事由)
第三百九十八条の二十 次に掲げる場合には、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。
三 根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続の開始又は滞納処分による差押えがあったことを知った時から二週間を経過したとき。
四 債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき。
2 前項第三号の競売手続の開始若しくは差押え又は同項第四号の破産手続開始の決定の効力が消滅したときは、担保すべき元本は、確定しなかったものとみなす。ただし、元本が確定したものとしてその根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した者があるときは、この限りでない。
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