賃借権に関する登記【先順位抵当権者に優先する同意の登記】
事例
権利部(乙区)(所有権以外の権利に関する事項) |
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順位番号 |
登記の目的 |
受付年月日・受付番号 |
権利者その他の事項 |
1 |
抵当権設定 |
◯年◯月◯日 |
省略 |
2
付記1号 |
抵当権設定 |
◯年◯月◯日 |
省略 |
2番抵当権転抵当 |
◯年◯月◯日 |
省略 |
|
3 |
賃借権設定 |
◯年◯月◯日 |
省略 |
4 |
抵当権設定 |
◯年◯月◯日 |
省略 |
上記登記記録の3番賃借権を先順位抵当権に優先させるために必要な同意を得ることができた場合の、賃借権の先順位抵当権に優先する同意の登記の申請。
申請情報
登記の目的 |
3番賃借権の1番抵当権,2番抵当権に優先する同意 |
---|---|
原因日付 |
年月日 同意 |
権利者 | 住所 B |
義務者 |
住所 甲 |
添付情報 |
・登記原因証明情報 |
登録免許税 |
金3000円 |
備考
登記の目的
【3番賃借権の1番抵当権,2番抵当権に優先する同意】
原因日付
【年月日 同意】
※同意の日。
権利者
【住所 B】
※賃借権者。
義務者
【住所 甲
住所 乙】
※賃借権の先順位抵当権に優先する同意の登記の登記義務者は先順位抵当権者。
※Bより後順位の抵当権者丁は申請に関与しない。
添付情報
・登記原因証明情報
・登記識別情報(甲及び乙のもの)
・代理権限証明情報(B及び甲及び乙からの委任状)
・承諾を証する情報(先順位抵当権の転抵当権者である丙の承諾書)
登録免許税
【金3000円】
※賃借権及び抵当権の個数1個につき1000円。今回の事例では1番抵当権、2番抵当権、3番賃借権で3個なので3000円。
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賃借権の登記
賃借権は債権だが、登記をすることが認められている。(不動産登記法3条8)
賃借権の登記事項
絶対的登記事項(不動産登記法81条-1)
・賃料
任意的登記事項(不動産登記法81条-2〜81条-8)
・存続期間又は賃料の支払時期の定めがあるときは、その定め
・賃借権の譲渡又は賃借物の転貸を許す旨の定めがあるときは、その定め
・敷金があるときは、その旨
・賃貸人が財産の処分につき行為能力の制限を受けた者又は財産の処分の権限を有しない者であるときは、その旨
・土地の賃借権設定の目的が建物の所有であるときは、その旨
第八十一条 賃借権の登記又は賃借物の転貸の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 賃料
二 存続期間又は賃料の支払時期の定めがあるときは、その定め
三 賃借権の譲渡又は賃借物の転貸を許す旨の定めがあるときは、その定め
四 敷金があるときは、その旨
五 賃貸人が財産の処分につき行為能力の制限を受けた者又は財産の処分の権限を有しない者であるときは、その旨
六 土地の賃借権設定の目的が建物の所有であるときは、その旨
七 前号に規定する場合において建物が借地借家法第二十三条第一項又は第二項に規定する建物であるときは、その旨
八 借地借家法第二十二条前段、第二十三条第一項、第三十八条第一項前段若しくは第三十九条第一項、高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成十三年法律第二十六号)第五十二条又は大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法第七条第一項の定めがあるときは、その定め
賃借権設定登記請求権
賃借人は賃貸人に賃借権設定登記を請求する権利を当然に有しているわけではなく、賃借権設定登記の契約等を結ぶ事によって賃借権設定登記請求権が発生する事になる。
賃借権は複数設定できる
賃借権は債権なので、物権のような排他的に物を支配する権利ではないため同一の者に複数の賃借権の設定をする事も可能。
賃借権の譲渡や転貸
賃借人は賃貸人の承諾を得て賃借権の譲渡や転貸が出来る。この承諾は譲渡や転貸をする時に得ても良いし、賃借権設定時にあらかじめ得ていても良い。賃借権設定時に予め得ていた場合で賃借権設定登記をする場合には、任意的登記事項にあたるので譲渡転貸が可能な旨も登記することになる(不動産登記法81条-3)
賃借権を先順位抵当権に優先させる同意の登記
賃借権より先順位の抵当権者全員の同意があれば賃借権を先順位抵当権に優先させる同意の登記が出来る。
この先順位抵当権者全員の同意には、その同意により不利益を受ける者の承諾が必要になる(民法387条2)。典型例としては先順位抵当権の転抵当権者等。
この賃借権を先順位抵当権に優先させる同意の登記をすることにより、抵当権の実行がされ、買受人が現れても賃借人は賃借権を買受人に対抗できる事になり保護される。
第三百八十七条 登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。
2 抵当権者が前項の同意をするには、その抵当権を目的とする権利を有する者その他抵当権者の同意によって不利益を受けるべき者の承諾を得なければならない。
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