賃借権に関する登記【賃借権設定】 | 不動産登記申請メモ 不動産登記申請書式集

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賃借権に関する登記【賃借権設定】 | 不動産登記申請メモ 不動産登記申請書式集

事例

A所有の不動産について、AB間で賃貸借契約(賃料金100万円)及び賃借権の設定登記をする旨の契約が成立した場合の申請。
※当該契約には「譲渡・転貸ができる」「支払時期は毎年末日」「敷金50万円」との定めがあるものとする。

 

申請情報

登記の目的

 賃借権設定

原因日付

年月日 設定
賃料 金100万円
支払期 毎年末日
敷金 金50万円
特約 譲渡,転貸ができる
権利者 住所 B

義務者

住所 A

添付情報

・登記原因証明情報
・登記識別情報(Aのもの)
・印鑑証明(Aのもの)
・代理権限証明情報(A及びBからの委任状)

課税価格 金1,000万円

登録免許税

金10万円
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備考

登記の目的

【賃借権設定】

 

原因日付

【年月日 設定】
※賃借権設定の日。

 

賃料

【金100万円】
賃料は賃借権設定の絶対的登記事項。

 

支払期

【毎年末日】
※支払期は賃借権設定の任意的登記事項なので定めがある場合には提供する。

 

敷金

【金50万円】
※敷金は賃借権設定の任意的登記事項なので定めがある場合には提供する。

 

特約

【譲渡,転貸が出来る】
※譲渡・転貸が出来る旨の定めは賃借権設定の任意的登記事項なので定めがある場合には提供する。

 

権利者

【住所 B】
※賃借権設定の登記権利者は賃借人。

 

義務者

【住所 A】
※賃借権設定の登記義務者は賃貸人(所有権の登記名義人)。

 

添付情報

・登記原因証明情報
・登記識別情報(Aのもの)
・印鑑証明情報(Aのもの)
・代理権限証明情報(A及びBからの委任状)

 

課税価格

【金1,000万円】
※課税価格は不動産の価格。このサイトでは特別な記述がない限り金1,000万円とする。

 

登録免許税

【金10万円】
※賃借権設定の登録免許税は課税価格の1000分の10。

 

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賃借権の登記

賃借権は債権だが、登記をすることが認められている。(不動産登記法3条8)

 

賃借権の登記事項

絶対的登記事項(不動産登記法81条-1)
・賃料

 

任意的登記事項(不動産登記法81条-2〜81条-8)
・存続期間又は賃料の支払時期の定めがあるときは、その定め
・賃借権の譲渡又は賃借物の転貸を許す旨の定めがあるときは、その定め
・敷金があるときは、その旨
・賃貸人が財産の処分につき行為能力の制限を受けた者又は財産の処分の権限を有しない者であるときは、その旨
・土地の賃借権設定の目的が建物の所有であるときは、その旨

(賃借権の登記等の登記事項)

第八十一条 賃借権の登記又は賃借物の転貸の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 賃料
二 存続期間又は賃料の支払時期の定めがあるときは、その定め
三 賃借権の譲渡又は賃借物の転貸を許す旨の定めがあるときは、その定め
四 敷金があるときは、その旨
五 賃貸人が財産の処分につき行為能力の制限を受けた者又は財産の処分の権限を有しない者であるときは、その旨
六 土地の賃借権設定の目的が建物の所有であるときは、その旨
七 前号に規定する場合において建物が借地借家法第二十三条第一項又は第二項に規定する建物であるときは、その旨
八 借地借家法第二十二条前段、第二十三条第一項、第三十八条第一項前段若しくは第三十九条第一項、高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成十三年法律第二十六号)第五十二条又は大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法第七条第一項の定めがあるときは、その定め

 

 

賃借権設定登記請求権

賃借人は賃貸人に賃借権設定登記を請求する権利を当然に有しているわけではなく、賃借権設定登記の契約等を結ぶ事によって賃借権設定登記請求権が発生する事になる。

 

賃借権は複数設定できる

賃借権は債権なので、物権のような排他的に物を支配する権利ではないため同一の者に複数の賃借権の設定をする事も可能。

 

賃借権の譲渡や転貸

賃借人は賃貸人の承諾を得て賃借権の譲渡や転貸が出来る。この承諾は譲渡や転貸をする時に得ても良いし、賃借権設定時にあらかじめ得ていても良い。賃借権設定時に予め得ていた場合で賃借権設定登記をする場合には、任意的登記事項にあたるので譲渡転貸が可能な旨も登記することになる(不動産登記法81条-3)

 

賃借権を先順位抵当権に優先させる同意の登記

賃借権より先順位の抵当権者全員の同意があれば賃借権を先順位抵当権に優先させる同意の登記が出来る。
この先順位抵当権者全員の同意には、その同意により不利益を受ける者の承諾が必要になる(民法387条2)。典型例としては先順位抵当権の転抵当権者等。

 

この賃借権を先順位抵当権に優先させる同意の登記をすることにより、抵当権の実行がされ、買受人が現れても賃借人は賃借権を買受人に対抗できる事になり保護される。

(抵当権者の同意の登記がある場合の賃貸借の対抗力)

第三百八十七条 登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。
2 抵当権者が前項の同意をするには、その抵当権を目的とする権利を有する者その他抵当権者の同意によって不利益を受けるべき者の承諾を得なければならない。

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