根抵当権の抹消【抵当権消滅請求】 | 不動産登記申請メモ 不動産登記申請書式集

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根抵当権の抹消【抵当権消滅請求】 | 不動産登記申請メモ 不動産登記申請書式集

事例

Bの根抵当権が設定登記されている不動産の所有権がAから甲へと移転した後、甲がBへと当該不動産の評価額を含む抵当権消滅請求に必要な書面(民法383条)を通知しBがそれを承諾したので、甲がBに対して当該不動産の評価額を払い渡した場合の根抵当権の抹消の申請。
※当該抵当権には転抵当の設定を受けている乙がいるとする。
※当該不動産に登記されている債権者はBのみであるとする。

 

申請情報

登記の目的

 ◯番根抵当権抹消

原因日付

年月日 抵当権消滅請求
権利者 住所 甲

義務者

住所 B

添付情報

・登記原因証明情報
・登記識別情報(Bのもの)
・代理権限証明情報(B・甲からの委任状)
・承諾を証する情報(乙の承諾書)

登録免許税

金1000円
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備考

登記の目的

【◯番根抵当権抹消】
※◯番根抵当権〜の要領で順位番号で特定する。

 

原因日付

【年月日 抵当権消滅請求】
※日付は払い渡し又は供託がされた日。

 

権利者

【住所 甲】
※抵当権消滅請求による根抵当権抹消登記では、登記権利者は不動産の第三取得者。

 

義務者

【住所 B】
※抵当権消滅請求による根抵当権抹消登記では、登記義務者は根抵当権者。

 

添付情報

・登記原因証明情報
・登記識別情報(Bのもの)
・代理権限証明情報(B・甲からの委任状)
・承諾を証する情報(乙の承諾書)
※登記上の利害関係人が存在する場合にはその者の承諾を証する情報を添付しなければ抹消登記は出来ない。主登記で実行されるわけではなく、登記が出来ないという点に注意。

 

登録免許税

【金1000円】
※抹消登記の登録免許税は不動産1個につき金1000円。

 

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抵当権消滅請求(民法379条)

民法
(抵当権消滅請求)
第三百七十九条 抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。

 

(抵当権消滅請求の手続)
第三百八十三条 抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をするときは、登記をした各債権者に対し、次に掲げる書面を送付しなければならない。
一 取得の原因及び年月日、譲渡人及び取得者の氏名及び住所並びに抵当不動産の性質、所在及び代価その他取得者の負担を記載した書面
二 抵当不動産に関する登記事項証明書(現に効力を有する登記事項のすべてを証明したものに限る。)
三 債権者が二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、抵当不動産の第三取得者が第一号に規定する代価又は特に指定した金額を債権の順位に従って弁済し又は供託すべき旨を記載した書面

 

抵当権消滅請求

・抵当不動産の第三取得者は、登記されている抵当権者全てに書面により自ら評価した額等を通知し、全ての抵当権者がそれを承諾し、第三取得者がその金額を支払い渡す又は供託するか、通知の到達から2ヶ月以内に抵当権者が競売の申立をしないとき(競売を取り下げたり却下や取り消しがされた場合も同様)は抵当権は消滅する。
※通知の到達から2ヶ月以内に抵当権者が競売の申立をしないときは、承諾したものとみなされる。
※通知は登記されている抵当権者全員に対してしなければならない。
全ての抵当権者の承諾が必要で、1人でも承諾せずに抵当権の実行をした場合には競売手続きに移行する。
※この379条の抵当権消滅請求は根抵当権でも可能。398条-22根抵当権消滅請求とは区別する。

(債権者のみなし承諾)
第三百八十四条 次に掲げる場合には、前条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、抵当不動産の第三取得者が同条第三号に掲げる書面に記載したところにより提供した同号の代価又は金額を承諾したものとみなす。
一 その債権者が前条各号に掲げる書面の送付を受けた後二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないとき。
二 その債権者が前号の申立てを取り下げたとき。
三 第一号の申立てを却下する旨の決定が確定したとき。
四 第一号の申立てに基づく競売の手続を取り消す旨の決定(民事執行法第百八十八条において準用する同法第六十三条第三項若しくは第六十八条の三第三項の規定又は同法第百八十三条第一項第五号の謄本が提出された場合における同条第二項の規定による決定を除く。)が確定したとき。

 

抵当権消滅請求が出来る第三取得者とは

・有償か無償かを問わず所有権を取得した者(代価弁済と異なり贈与により無償取得した者でも可能)。
※抵当権消滅請求ができるのは、所有権を取得したものに限られる点に注意(代価弁済は地上権を取得した者も可能)
※根抵当権の消滅請求(民法398-22-1)では、所有権を取得した者に限られず物上保証人や抵当不動産につき所有権、地上権、永小作権、第三者に対抗することができる賃借権を取得した第三者は根抵当権の消滅請求が出来る。

 

抵当権消滅請求が出来ない第三取得者

・主たる債務者、保証人、相続や合併による一般承継人は抵当権消滅請求が出来ない(民法380条)
※代価弁済では被担保債権の保証人も可能だった。
・停止条件付第三取得者は停止条件が未定の間は抵当権消滅請求が出来ない(民法381条)
※解除条件の場合は可能。
・共有持分を取得した者は抵当権消滅請求が出来ない。
・譲渡担保権者は譲渡担保の実行により確定的に所有者となった後でないと出来ない。

第三百八十条 主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。
第三百八十一条 抵当不動産の停止条件付第三取得者は、その停止条件の成否が未定である間は、抵当権消滅請求をすることができない。

 

抵当権消滅請求が可能な時期

(抵当権消滅請求の時期)
第三百八十二条 抵当不動産の第三取得者は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に、抵当権消滅請求をしなければならない。

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根抵当権消滅請求(民法398条の22)

元本確定後に現存する債権の額が極度額を超える場合に、物上保証人、抵当不動産の第三取得者、抵当不動産を目的とした地上権、永小作権、第三者に対抗することができる賃借権を取得した第三者は根抵当権の極度額に相当する金銭を払い渡し又は供託をして根抵当権の消滅請求ができる。
※民法379条の抵当権消滅請求とは異なり、所有権を取得した者に限られない。
※根抵当権の消滅請求があった場合の根抵当権抹消の登記の申請人は、登記権利者は消滅請求をした者となり根抵当権設定者である所有権の登記名義人に限られない点に注意する。(登記義務者は通常通り根抵当権者)。

(根抵当権の消滅請求)

第三百九十八条の二十二 元本の確定後において現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときは、他人の債務を担保するためその根抵当権を設定した者又は抵当不動産について所有権、地上権、永小作権若しくは第三者に対抗することができる賃借権を取得した第三者は、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅請求をすることができる。この場合において、その払渡し又は供託は、弁済の効力を有する。
2 第三百九十八条の十六の登記がされている根抵当権は、一個の不動産について前項の消滅請求があったときは、消滅する。
3 第三百八十条及び第三百八十一条の規定は、第一項の消滅請求について準用する

根抵当権の消滅

元本確定の前後を問わないケース

・根抵当権設定契約の解除
・根抵当権の放棄
・抵当権消滅請求(民法379条)

 

元本確定後に限られるケース

・被担保債権の全部の消滅(一部では消滅しない)
※確定前の根抵当権では債権の範囲に属する債権が全て消滅しても根抵当権は消滅しない(付従性の否定)
・根抵当権の消滅請求(民法398条-22)
※民法379条の抵当権消滅請求と区別する。

 

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根抵当権の抹消登記

弁済を登記原因とする根抵当権抹消登記の前提

弁済を登記原因とする根抵当権の抹消登記が出来るのは元本確定後に限りすることが出来る。そのため根抵当権の元本確定の登記がされていることが前提条件となる。※登記記録上で元本確定が明らかな場合は除く。

 

 

申請人
原則:登記権利者と登記義務者の共同申請

 

登記権利者=根抵当権設定者
※債務者は申請人とならない。
※消滅した根抵当権の後順位抵当権者も登記権利者となることが出来る。
※共有不動産に設定されていた根抵当権の抹消は保存行為(民法252但し書)として共有者の1人と根抵当権者が共同で申請できる。

 

登記義務者=根抵当権者

 

例外:単独申請

・混同による登記権利者兼義務者としての実質的な単独申請
・不動産登記法69条による単独申請
・不動産登記法70条による単独申請

 

不動産登記法69条による単独申請
(死亡又は解散による登記の抹消)

第六十九条 権利が人の死亡又は法人の解散によって消滅する旨が登記されている場合において、当該権利がその死亡又は解散によって消滅したときは、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該権利に係る権利に関する登記の抹消を申請することができる。

 

不動産登記法70条による単独申請
(登記義務者の所在が知れない場合の登記の抹消)

第七十条 登記権利者は、登記義務者の所在が知れないため登記義務者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第九十九条に規定する公示催告の申立てをすることができる。

 

2 前項の場合において、非訟事件手続法第百六条第一項に規定する除権決定があったときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独で前項の登記の抹消を申請することができる。

 

3 第一項に規定する場合において、登記権利者が先取特権、質権又は抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報として政令で定めるものを提供したときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独でそれらの権利に関する登記の抹消を申請することができる。同項に規定する場合において、被担保債権の弁済期から二十年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたときも、同様とする。

不動産登記法70条-2

70条-1の公示催告の申立をし、除権決定があると登記権利者は単独で登記の抹消を申請できる。

 

不動産登記法70条-3

登記義務者である根抵当権者の所在が知れないために共同申請が出来ないときは下記の@かAにより登記権利者からの単独申請により抹消登記が出来る。
@被担保債権が消滅したことを証する情報と、登記義務者の所在が知れないことを証する情報を提供する。
A被担保債権の弁済期から20年経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び損害金の全額に相当する金銭を供託する。(休眠担保の抹消と言われる)
上記の@かAのどちらかを満たせば単独で申請が可能になる。
※不動産登記法70条3項の被担保債権の弁済期とは、根抵当権の場合には元本確定の日であり、登記記録上で元本確定の日が明らかならその日、明らかでない場合には根抵当権設定の日から3年経過した日となる。また、供託すべき金額は極度額全額及び元本確定までの利息及びその翌日移行の損害金の全額となる。

 

利害関係人の承諾

権利に関する登記の抹消なので利害関係人がいる場合には、その者の承諾を証する情報を添付しなければならない。その者の承諾がなければ抹消登記は出来ない(民法68条)。
※変更や更正登記の様に承諾があれば付記、なければ主登記となるわけではなく、承諾がなければ登記自体出来ない事に注意。

 

利害関係人とは、民法376条1項の処分(転抵当など)を受けたものや、抹消する抵当権に関する移転仮登記を受けてる者、抹消する抵当権の差押や仮差押や質入の登記を受けている者等があたる。

 

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